フリーランスに憧れる人は少なくありません。しかし、フリーランスはやめたほうがいいと耳にした人は多いのではないでしょうか。
この記事では、フリーランスはやめたほうがいいと言われる理由から、フリーランスが直面する課題を網羅的にまとめ、課題をクリアするための情報を詳しく解説します。
向いている人・向いていない人の特徴についても分析しているため「自分はフリーランスをやめたほうがいいのかどうか」の判断に役立ててください。
フリーランスはやめたほうがいいと言われる理由
フリーランスは仕事もプライベートも自由度が高いですが、すべての人に向いているわけではありません。以下の理由から、フリーランスはやめたほうがいいと言われています。
- 収入が不安定である
- 営業する必要がある
- スキルアップが大変である
- 自己管理能力が求められる
- 社会的信用が低い
- 社会保障が不足している
- 孤独とストレスに悩まされる
- 事務作業が負担になる
- 生活リズムが不規則になる
フリーランス生活を安定させるためには、柔軟性や適応能力など、さまざまな要素が必要です。フリーランスのライフスタイルが自分に合っているかを考えてみましょう。
収入が不安定である
フリーランスは、収入が不安定という大きな課題があります。フリーランスの収入は案件や契約に基づくため、会社員の給料のように安定した収入は得られません。繁忙期と閑散期の波が激しく、時期によって収入に大きな変動が生じます。顧客のニーズの変化や予算不足によって案件や契約が終了する可能性もあります。
収入の予測が難しいことから、長期的な計画を立てづらいです。特に独立直後は、顧客や案件の獲得が軌道に乗るまで低収入になりやすいです。報酬の支払い遅延や未払いといったトラブルが発生することもあります。不安定な収入は、フリーランスにとってストレスや不安の原因です。
会社員のような安定した収入を求める場合、フリーランスという選択はとても難しいでしょう。
ケガや病気で働けなくなった場合も収入が途絶えてしまうため、貯金や保険、福利厚生サービスで万が一に備えておくと安心です。1人の顧客や1つの案件に依存せず、複数の顧客と案件を途切れることなく獲得・継続できるようになると比較的に安定しやすいです。
営業する必要がある
フリーランスとして働くには、顧客や案件を獲得するための営業活動が必要です。営業には提案力や交渉スキルが求められます。SNSを用いたオンラインでの発信や交流会への参加など、多様なマーケティング戦略が有効です。競合他社との差別化も意識して、自分と契約することのメリットを相手に提示してください。
長期的に収入を得るためにも、継続的な営業活動が欠かせません。収入が途切れないように新たな案件を探し、案件獲得の選択肢を充実させることが大切です。単発契約や短期契約だけでなく、継続的な契約や長期契約も締結できると営業活動の負担を軽減することができます。実績や信頼関係も築きやすいです。
未経験者や初心者など、専門スキルや実績、実務経験が乏しい場合は、たとえ営業力があっても顧客や案件の獲得には苦戦しやすいです。初心者でもOKな案件を探すか、正規・非正規を問わず雇用契約を通して、まずは実務経験を積みましょう。
フリーランスにとって営業力は重要ですが、普段の業務をしながら営業活動をするのは容易ではありません。
エンジニアやデザイナーなど一部の職種では、フリーランスエージェントを活用することで希望に合った案件を紹介してもらえます。自分で営業をする必要がなくなり、契約や単価交渉もサポートしてもらえるため、営業に課題を感じている方におすすめです。
スキルアップが大変である
フリーランスには会社員のような人事評価はなく、キャリアプランや目標達成をサポートしてくれるチームや研修もありません。自主的に新しい知識を身に付けて、スキルを磨いていく必要があります。会社員以上に学習意欲や向上心が重要です。
スキルアップを怠ると次第に市場価値が下がり、単価が頭打ちになったり、案件の獲得に苦戦したりすることになります。継続的にスキルアップをするためには、独学以外にも、勉強会やセミナー、オンライン講座の活用が有効です。
需要の高いスキルを磨くことで、市場価値を維持することができます。需要の高さに加えて希少性の高いスキルを身に付けることができれば、単価アップにもつなげることが可能です。
自己管理能力が求められる
フリーランスには自己管理能力が求められます。自分でスケジュールを立て、しっかりと守る力は仕事を進めるうえで重要です。納期に遅れると顧客の信頼や仕事を失ってしまいます。作業環境を自分で整え、自宅やカフェ、コワーキングスペースなどで効率的に仕事を進めましょう。
フリーランスには上司や同僚がいないため、モチベーションを自分で保つ必要があります。適切な目標設定や達成感を得ることで、モチベーションを維持してください。燃え尽き症候群を予防するために、適切なタイミングで休暇をとることも大切です。
健康管理は自己責任です。フリーランスは長時間労働が常態化しやすいため、バランスのとれた食事や充分な睡眠、適切な運動で体調を崩さないよう注意してください。自分の行動が収入に直結するため、プライベートの誘惑に負けず、集中して仕事に取り組みましょう。
社会的信用が低い
フリーランスは会社員に比べて社会的信用が低いです。収入が不安定であり、返済能力が低いと判断されやすいためです。フリーランスになると、以下の審査に通りにくくなります。
- クレジットカード
- 住宅ローン
- 賃貸契約
- 金融機関の融資
審査を通したい場合は、会社員のうちに審査を済ませておくもの一つの手段です。独立した後であれば、法人化することで社会的信用を高めることもできます。
銀行口座とクレジットカードを2つ以上所持していない場合は、私用と事業用で最低2つは発行しておくことをおすすめします。仕訳や確定申告で売上や経費を計算する際に、私用と事業用の収支が混ざっていると事務作業が煩雑になるためです。
社会保障が不足している
フリーランスとしての働き方には、社会保障面でのリスクが伴います。会社員とは異なり厚生年金の対象外であり、国の年金制度が手厚くないため、将来の資金準備や老後の備えは自分でしっかりと計画を立てる必要があります。
公的医療保険は「健康保険」の代わりに「国民健康保険」への加入が必要であり、保険料の自己負担が大きくなることに注意が必要です。会社員の場合は、会社が厚生年金と健康保険の保険料を半額負担してくれますが、フリーランスは全額自己負担になります。雇用保険の恩恵を受けられないため、仕事を失った際の保障も薄いです。
フリーランスには福利厚生や退職金がありません。仕事をしながら老後の準備もすることで負担が増します。制度上のギャップを埋めるためには、個人での保険加入や新NISA、iDeCo(個人型確定拠出年金)による対策が重要です。
孤独とストレスに悩まされる
フリーランスにはチームやオフィス環境がないため、1人で仕事をすることが多く、孤独を感じることがあります。孤独感は精神的に悪影響を与えます。仕事のプレッシャーや収入の不安定さもストレスを増やす要因です。周りに相談できる人がいなければ、孤独感が強まります。
フリーランスは自分で仕事とプライベートのバランスを取りながら、適切なストレス管理を行うことが大切です。ストレスを上手に管理することで、仕事の質を保ちやすくなります。ストレスの原因を特定して、根本解決を図りながら、趣味で気分転換をしたり、理解者に相談して気持ちを整理したりしましょう。
特に一人暮らしのリモートワークは孤独感が強まりやすいため、定期的に交流会やコミュニティに参加するのもおすすめです。実家暮らしやルームシェアといった共同生活ができるなら、孤独感の解消だけでなく、生活費の負担軽減にもつながります。仕事に集中できる環境を作れることが前提ですが、共同生活も検討してみましょう。
事務作業が負担になる
フリーランスとして働くと、以下の事務作業が大きな負担になります。
- 行政手続き、書類提出
- 契約書の作成・更新
- 請求書の作成・管理
- 経理(経費の管理など)
- 確定申告、納税
多岐にわたる事務作業を処理する必要があります。特に契約書の作成や更新は、法的知識が必要で難易度が高い作業です。契約書や請求書の作成に不安や苦手意識のある方は、フリーランスエージェントを利用する方法もあります。フリーランスエージェントを利用すれば、自分で契約書を作成する必要はありません。
フリーランスは業務と並行して事務作業が発生するため忙しくなりやすいです。時間管理を徹底し、事務作業を効率的に処理しないと、本業に悪影響が出てしまいます。事務作業を効率的に処理するためには、ツールやソフトウェアの活用がおすすめです。税理士に依頼するという方法もあります。
生活リズムが不規則になる
フリーランスは自由な時間管理ができる一方で、生活リズムが不規則になりやすいです。仕事とプライベートの区別がつきにくいため、規則正しい休暇や睡眠が取れないことも少なくありません。プロジェクトの締め切りや仕事の量に応じて、夜遅くまで作業をすることもあり、体内時計が乱れてしまいます。
心身の健康を守るためにも、休日を使ってリフレッシュするなど、意識的な休養が必要です。休暇を取ることが難しい環境では、心身の健康に問題が生じます。フリーランスとして働き続けるためには、健康的な生活リズムを継続することが重要です。
生活リズムを整えるには、日光浴(できれば朝日を浴びること)と散歩がおすすめです。遅い時間からのカフェインやお酒の摂取は控えましょう。シャワーだけで済まさず、湯船に浸かるのも効果的です。
フリーランスとして生き残るために必要な条件
フリーランスとして安定して働くためには、以下の条件が必要です。
- 高い専門性
- 継続的なスキルアップ
- 営業力と人脈
- 財務管理能力
- メンタルの強さと自己管理能力
- 柔軟性と適応能力
必要な条件を具体的に解説し、実践的なアプローチ方法を紹介します。
高い専門性
フリーランスには、高い専門性が欠かせません。専門的な知識やスキルを保有することで市場価値が上がり、引く手あまたの人材になれます。
高い専門性は競合他社との差別化になり、他者に模倣されにくいユニークな商品やサービスを提供可能です。顧客からの信頼獲得、実績やポートフォリオ、将来的な仕事の受注など、多くの場面で役立ちます。
専門性を高めるうえで、業界のトレンドや技術革新に素早く対応する学習能力も重要です。学習能力を活かして、専門的な資格を取得するアプローチも有効です。専門的なアドバイスや高品質な結果を提供することで、顧客の問題解決に貢献できます。
フリーランスとしてのキャリアを高めて成長を続けるためには、継続的に知識を更新して、スキルを磨く必要があります。安定した収入を確保するためにも、常に一歩進んだ専門知識を身に付けましょう。
継続的なスキルアップ
フリーランスとして成功を収めるためには、継続的なスキルアップが欠かせません。技術は日々進歩しています。業界の動向を把握することが重要です。勉強会やセミナー、オンライン講座への参加が、高度な専門性の維持や新しい知識・スキルの習得に役立ちます。
専門分野の本を読んで実践し、実務経験からスキルを磨き、自分のポートフォリオやプロフィールに反映しましょう。さまざまな業界の人々と関わり、情報交換をすることで、新たな仕事のチャンスを生み出せます。
自分よりも知識やスキルが優れている人や経験が豊富な人を見つけ、アドバイスを求めることで視野が広がります。常に更新される技術やツールに対する学習意欲を持ってください。定期的な目標設定と自己評価により成長を促進できます。インターネットには学習に役立つ情報が豊富にあるため、積極的に活用しましょう。
継続的にスキルを磨いて、フリーランスとしての市場価値を高めてください。
営業力と人脈
営業力と人脈は、フリーランスの成功に直結します。案件の獲得と収入の安定に関わる重要なスキルです。営業力を上げるためには、自分のサービスやスキルを明確に把握し、相手が満足できる伝え方を考え、実践していく必要があります。コミュニケーション能力を磨き、信頼関係の構築に努めてください。
交流会やイベントに参加することで、人脈作りに役立ち、新たな仕事の可能性が広がります。SNSの活用はオンラインでの存在感を高め、人脈の拡大につながります。紹介による案件獲得を目指すためにも、相手のニーズや満足感を考えながら行動してください。
パートナーシップやコラボレーションを積極的に行い、共同プロジェクトを進めることも事業拡大に有効です。継続的なフォローアップやアフターケアは、リピート契約につながります。
営業戦略を立て、ターゲット市場を絞り込むことで、効率的なアプローチが可能です。自分の仕事の成果をポートフォリオにまとめ、具体的な経歴や成果を示すことが信頼と実績につながります。自分の長所や魅力を意識し、専門性を高めることで他者との差別化を図りましょう。
営業力と人脈を育てることは簡単ではありません。しかし、地道に強化することでフリーランスとしての基盤が固まり、長期的に事業を継続できるようになります。
財務管理能力
フリーランスとして安定した生活を送るためには、財務管理能力が非常に重要です。フリーランスは収入が不安定で、経済的なリスクを管理しなければなりません。収支管理と見直しを行い、税金の知識と節税対策を理解することで、収入の波があっても生活資産や事業資産が安定します。
予算計画と収支管理を行い、将来に向けた計画を立ててください。緊急時には資金準備とリスク管理で対応できます。投資を組み合わせた資産形成をすることで、長期的な安定を目指しましょう。
事業の拡大には、資金調達能力と金融知識が欠かせません。財務管理にまつわるスキルを高めることで、フリーランスとしての安定した生活を手に入れてください。
メンタルの強さと自己管理能力
フリーランスとして働くには、メンタルの強さと自己管理能力が必須です。フリーランスは予想外の出来事やストレスに直面することが多く、乗り越えるにはメンタルの強さが求められます。モチベーションを保ち、設定した目標に向かっていくために、自己管理能力も必要です。
タイムマネジメントによって限られた時間を効率的に使い、仕事とプライベートのバランスをとります。誘惑に負けずに仕事を優先する自制心や、挫折と失敗から立ち直る回復力も、フリーランスとして成功するうえで大切です。
メンタルの強さと自己管理能力を備えた人は、どんな厳しい環境にも耐え抜き、長期的な活躍が期待できます。
柔軟性と適応能力
フリーランスには、柔軟性と適応能力が欠かせません。不確実な環境での仕事が多く、プロジェクトや市場の変化に迅速に適応することが求められます。
新しい知識やスキルを学んで自分のスキルセットを常に更新しましょう。変動する顧客のニーズに合わせて商品やサービスを調整できる柔軟性も重要です。予想外の状況に適応するストレス耐性も大切な要素です。
柔軟性と適応能力を伸ばすことで、多様なチャンスをつかめます。スキルセットを更新し続け、新しい環境に飛び込んでいきましょう。
フリーランスに向いている人と向いていない人の特徴
フリーランスの自由な働き方は魅力的ですが、フリーランスに向いている人と向いていない人がいます。それぞれの特徴から自分がフリーランスに向いているかを見極め、性格や能力に合った働き方を選びましょう。
フリーランスに向いている人の特徴
フリーランスに向いている人の特徴を以下にまとめます。
- 自己管理で計画的に仕事ができる
- リスクをとることに抵抗がない
- 不安定な収入に耐えられる
- 高度な専門知識やスキルを持っている
- 継続的に知識やスキルを磨く意欲がある
- 1人作業で孤独を感じにくい
- メンタルが強く、ストレス耐性がある
- 営業活動や人脈作りができる
- コミュニケーション能力が高い
- 柔軟性や適応能力がある
- 財務管理ができる
すべての特徴を備えるのは難しいですが、多くの特徴を持つ人は、フリーランスとして成功できる可能性が高いです。フリーランスとして働きたい方は、今からでも上記の特徴を身に付けていきましょう。
フリーランスに向いていない人の特徴
以下の特徴を持つ人は、フリーランスとしての働き方が向いていない可能性があります。
- 自己管理ができない
- 不確実性やリスクを恐れる
- 収入の不安定さに耐えられない
- 社会保障の不足に不安を感じる
- 独学やスキルアップに意欲がない
- ストレス管理やメンタルヘルスに自信がない
- 対人関係や人脈作りが不得意である
- 自主性や主体性が低い
- 自己PRができない
- 柔軟性や適応能力に欠ける
- 業務外の事務作業や経理作業に抵抗がある
フリーランスという働き方は特定の特徴を持つ人には適さないため、自分に合った働き方を慎重に選んでください。フリーランスとしての生活が自分に合っているかをじっくり考えましょう。
まとめ
フリーランスには自由な働き方という魅力がありますが、収入の不安定さや営業の必要性など、さまざまな課題が伴います。自己管理能力が求められるだけでなく、社会保障の不足や孤独感による精神的なストレスも無視できません。
フリーランスが直面する問題には、事務作業の負担や不規則な生活リズムなどが含まれます。問題を乗り越えるには、以下の能力が欠かせません。
- 高い専門性
- 学習意欲
- 営業力と人脈作り
- 財務管理能力
- 強靭なメンタルと自己管理能力
- 柔軟性と適応能力
今後のキャリアや働き方を考えるうえで、自分がフリーランスに向いているかを見極めることは大切です。フリーランスを目指す方も、現在活動中の方も、さまざまな要素を考慮して今後のキャリアや働き方を検討してください。