「フリーランスの自由な働き方に魅力を感じているけど、実際の年収はどうなの?」
この記事では、フリーランスの職種による年収の違いから、年収を左右する要因、手取り年収と税金の関係まで徹底解説します。記事を読めば、フリーランスとして自由に働きながら、年収の安定と成長を実現するためのヒントが見つかります。
フリーランスの年収をアップさせる具体的な方法も解説するため、フリーランスに魅力を感じる方の将来設計に役立つでしょう。
フリーランスの年収事情
フリーランスの年収は業界や職種、地域、働き方によって大きく異なり、一概には言えません。安定して年収が高いフリーランスがいる一方で、年収が低いフリーランスや年収が安定しないフリーランスも多いです。
フリーランスの年収にはさまざまな事情があるため、自分の事情に合わせてキャリアプランや年収アップの戦略を練る必要があります。
フリーランスの年収
フリーランス協会が公開している「フリーランス白書2023」によると、年収200〜400万円未満の割合(27.9%)が一番多い結果となりました。年収200万円未満も19.5%いる一方で、過半数は年収400万円以上であり、年収1,000万円以上も10%の割合を占めています。
フリーランスの年収は幅広く、業界や職種、地域、働き方によって大きく異なります。特に年収が高い傾向にあるのは、エンジニア・技術開発系、コンサルティング系です。
経験が豊富なフリーランスは年収が高くなりやすく、経験が浅いと年収は低くなりがちです。市場価値のあるスキルを持っていれば、年収をアップできる可能性が高まります。
フリーランスの年収はさまざまな要因に影響されます。業界や職種、地域、働き方、経験などを考慮したうえで年収の相場を知ることが大切です。
フリーランスの職種による年収の違い
フリーランスとして活躍する人々の年収は、職種によって明らかな差があります。職種が年収に大きく影響を及ぼすため、フリーランスの職種選びは重要です。
「フリーランス白書2020」によると、職種別の年収割合では、エンジニア・技術開発系とコンサルティング系が年収800万円以上の内訳の過半数を占めており、比較的に高年収を目指しやすい職種であることがわかります。
対して、クリエイティブ・ウェブ・フォト系と出版・メディア系は幅広く分布しているものの、年収400万円未満の内訳で4割以上を占めているため、高年収を目指すにはやや難易度が高い職種です。
職種によって年収相場に差があることを解説しましたが、特定の職種の良し悪しを判断する意図はありません。年収はあくまで働き方の一要素であるため、自分に合った職種を総合的に選ぶことが大切です。
もし自分が選んだ職種の年収相場が高くなかったとしても、後述する年収をアップする方法によって年収アップを実現できる可能性もあります。
フリーランスの年収が高い業界や職種
フリーランスとして高年収を目指すのであれば、業界や職種の選択が重要です。年収が高い業界や職種を選択することで、経済面の安定と成長が見込めます。
年収が高い傾向にある業界や職種と、その理由は以下のとおりです。
- エンジニア・技術開発系
- 高い専門性と技術力が報酬に反映される
- コンサルティング系
- 企業のニーズが高く、高年収が期待できる
- プロジェクトマネージャー、データアナリスト
- プロジェクトで求められるスキルが高年収につながる
フリーランスの年収を左右する要因
フリーランスの年収は給料のような固定給とは異なり、能力や働き方によって大きく変わります。フリーランスの年収を左右する主な要因は以下の3つです。
- スキルと経験
- 案件の単価
- 働き方
スキルと経験
フリーランスの年収は、スキルと経験に大きく左右されます。専門性の高いスキルを持っている人は、年収が高くなる傾向があります。より多くの年収を得るためには、自分の専門性を高めることが重要です。
フリーランスとして高年収を得るために重要な要素は以下のとおりです。
- 専門スキルの向上
- 市場で需要の高い技術やプラットフォームに精通していること。
常に新しい知識を身につけ、最新のトレンドを把握していること。 - 自己PRの強化
- 実績やポートフォリオをしっかりと築いていること。
顧客に自分の能力をアピールして信頼を得ること。 - 業界内での良好な関係の構築
- 業界内での人脈や評判を良好に維持して、紹介や案件獲得につなげること。
スキルと経験を意識してキャリアを築くことで、フリーランスとしての市場価値が高まり、高年収を目指せます。
案件の単価
フリーランスとして受注できる案件は多種多様であり、案件ごとに単価も異なります。フリーランスとして高い年収を得るためには、案件の単価を踏まえて、効率的な働き方を模索することが不可欠です。
市場の需要が高く供給が少ないほど、高単価になりやすいです。スキルと経験によっても単価は変動します。市場価値や得意分野を正しく理解し、適切な単価交渉や価格設定を行いましょう。
専門的なスキルがなく経験が浅い場合は、まず低単価からスタートしてスキルと経験を積むのも一つの手段です。しかし、いつまでも低単価のままでは、事業運営や生活が厳しくなります。
基本的に、顧客や取引先から積極的に単価を上げてくれることはありません。積み上げたスキルと経験に自信を持って、自ら単価交渉や価格設定に挑戦する必要があります。
働き方
フリーランスは働き方を自由に選べる点が大きな特徴です。働く時間や場所に柔軟性があり、働き方が年収に影響を与えます。契約形態やプロジェクトのスケジュール感など、自分に合った働き方を選ぶことが重要です。
生産性を維持するには自己管理が大切です。安定した年収を確保するためには、定期的に新規顧客や案件を確保したり、作業を外注化したりする事業運営が求められます。
異業種交流や新規顧客獲得への努力も、年収アップにつながる大切な要素となるため、積極的に取り組みましょう。フリーランスとして成長を続けるには、継続的な学習やスキルアップ、経験や挑戦への投資も重要です。フリーランスの年収は、自分の働き方によって大きく左右されます。
フリーランスの手取り年収と税金の関係
フリーランスとして活動する際には、自分の手取り年収を正しく理解することが重要です。フリーランスは適切な経費の計上によって所得を抑え、節税することが可能です。自身の手取り年収をしっかりと管理し、節税対策を行うことで、より安定した事業運営につながります。
手取り年収の計算方法
フリーランスの手取り年収の計算は、実際に受け取れる金額を知るために重要です。手取り年収の計算は、以下のステップで行います。
- 年間の売上と経費を計算する
- 各種控除を計算する
- 経費や控除を考慮して、各種税金を計算する
(所得税、住民税、消費税、個人事業税) - 各種社会保険料を計算する
(国民健康保険料、国民年金保険料、介護保険料) - 手取り年収を算出する
手取り年収 = 売上 – 経費 – 税金 – 社会保険料
フリーランスとしてのライフプランを立てるうえで、手取り年収を正確に把握することが重要です。
フリーランスが支払う税金と社会保険料の種類
所得に応じて国・自治体に納める税金や社会保険料など、フリーランスが支払う税金と社会保険料にはさまざまな種類があります。事業の規模や収益により対象や納税額が異なるため、個々の状況に応じた計算が必要です。
フリーランスが支払う税金は主に以下のとおりです。
税金・社会保険料 | 課税・負担内容 |
所得税 | 売上から経費と控除を差し引いた所得に対して課される |
住民税 | 所得税と同様の所得に対し課される |
消費税 | 年間売上が1,000万円以上のフリーランスは課税対象 |
個人事業税 | 一定の基準を超えた収入がある場合、地方税として課される |
国民健康保険料 | フリーランスは全額自己負担する |
国民年金保険料 | 一律の保険料。フリーランスは全額自己負担する |
介護保険料 | 40~64歳の国民は保険料を納める |
自分が支払う税金の種類と納税額を確定させるためには、確定申告が欠かせません。確定申告は、一年間の収支を正確に計算し、納税額を確定する手続きです。税制優遇である青色申告特別控除を利用すれば、税負担を減らすことも可能です。
フリーランスが支払う税金について理解することは、賢く節税して手取り年収を最大化するために欠かせません。
フリーランスの賢い節税方法
手取り年収を最大化するためには、効果的な節税方法の知識が必要です。効果的な節税方法を知ることで、税金の払い過ぎを防ぎ、賢く節税できます。
フリーランスが行える節税方法は以下のとおりです。
- 経費として認められる費用は積極的に計上する
- 配偶者控除や扶養控除など、家族の状況を考慮した控除を適用する
- 青色申告を選択し、青色申告特別控除を適用する
- 家事按分で家賃や水道光熱費の一部を経費として計上する
- 消費税の免税や減税の制度を活用する
- 赤字(純損失)の年は、翌年に繰り越して控除を適用する
- 寄附金控除(ふるさと納税)を利用する
- iDecoや小規模企業共済に加入して、小規模企業共済等掛金控除を適用する
節税は実質的な手取り年収の増加であるため、将来的な資産形成や事業の成長にもつながります。フリーランスとしての安定した年収の確保と事業運営にも有効です。
フリーランスの年収をアップする方法
フリーランス特有の自由な働き方を活かしつつ、年収の安定と成長を目指すためには戦略が重要です。年収アップに有効な戦略を3つ解説します。
- 収入源を増やす
- 交渉スキルを磨く
- 長期的なキャリアプランを立てる
収入源を増やす
フリーランスの収入を安定させるためには、収入源を増やす戦略が有効です。一つの収入源が途絶えても他で補えるためリスク分散になり、経済の変化にも強いビジネスを展開できます。
フリーランスが収入源を増やす例として、以下の手段が挙げられます。
- コンサルティング
- イベントやワークショップの企画・開催
- オンライン講座やコーチングサービスの提供
- デジタル商品の販売(電子書籍、アプリ、写真素材など)
- 特許や著作権などの知的財産からのライセンス収入
- アフィリエイト
- YouTubeの広告収入
- 不動産収入、株の配当金
リスク分散の観点では、本業とは業界や職種を変えて、安定性や成長性のある分野で活躍できるのが理想的です。ただし、知識やスキル、経験が浅い分野で安定した収入を確保するには相応の時間や労力が必要であり、成功率も高くはありません。現実的なリスク分散としては、本業や得意分野を活かせる範囲で少しずつ新規事業を展開する方法がおすすめです。
交渉スキルを磨く
交渉スキルを磨くことは、年収を上げるために役立ちます。交渉を通じて単価をアップしたり、より条件の良い案件や契約を獲得できたりします。
交渉スキルにおいて重要な要素は以下のとおりです。
- 交渉の目的や最低条件を明確にする
- 日々のコミュニケーションなどを通して、相手の要望を正確に理解する
- 交渉の目的と相手の要望から、合意点を見つけるための戦略を練る
- 相手にとって魅力的な交渉材料を揃える
- 交渉の前に事前準備やシミュレーションを行う
- 相手に好印象を与えられるようなコミュニケーションを心がける
- 交渉の際には、相手を尊重しつつ、自分の価値をアピールする
- 交渉の結果を文書化し、曖昧さをなくして誤解を避ける
- 交渉の後は反省会を行い、課題点を洗い出して改善策を考える
- 課題点の改善策を実践して、継続的に交渉スキルを磨く
交渉スキルを磨く前提として、自分自身の市場価値を高め続けてください。相手にとって自分という商品・サービスが魅力的でなければ、交渉スキルだけでは限界があります。
自分自身の市場価値を高めるには、継続的な学習やスキルアップを行う、需要が高い経験を積む、有益な結果や成果(アウトプット)を残すといったアクションが有効です。お互いにメリットがある商談を成立させて、信頼関係を深めながら年収アップを勝ち取りましょう。
長期的なキャリアプランを立てる
フリーランスとして安定した年収を目指すためには、長期的なキャリアプランを立てることが不可欠です。自己分析を行い、自分の強みと市場のニーズを把握したうえで、明確なキャリア目標を設定しましょう。段階的に目標達成する計画を立てます。
業界のトレンドや技術の進化を常に追い、必要なスキルを身につけることも重要です。業界内での人脈の構築や、専門性を高めるための資格取得、継続的な学習やスキルアップ、経験や挑戦への投資も求められます。
定期的に自己評価を行い、キャリアプランの見直しを図ることも大切です。自分の長所や魅力を強化し、専門分野での信頼と評価を確立できるように努力しましょう。
ワークライフバランスを考慮したキャリアプランを立てることで、仕事だけでなくプライベートの充実も目指せます。
まとめ
フリーランスは、業界や職種、地域、働き方によって年収が大きく異なります。特に年収が高い傾向にあるのは、IT業界やコンサルタントの分野で活躍するプロフェッショナルです。
年収を左右する要因として、スキルや経験、案件の単価、働き方が挙げられます。フリーランスの手取り年収を計算する際には、売上から経費を差し引いた後に、控除、税金、社会保険料を考慮しなければなりません。フリーランスが関わる税金は、所得税や住民税、消費税など種類が多いため、税金の種類ごとに適切な節税対策を行うことが重要です。
フリーランスが年収をアップさせるためには、収入源を増やし、交渉スキルを磨くことが効果的です。長期的な視野でキャリアプランを考えることで、計画的に年収をアップできるでしょう。