【確定申告で損をしないために】白色申告と青色申告の違いと選び方を徹底解説!

【確定申告で損をしないために】白色申告と青色申告の違いと選び方を徹底解説!
  • 白色申告と青色申告の違いがわからない
  • 白色申告と青色申告のメリットとデメリットを比較したい
  • 白色申告と青色申告、どちらが自分に合っているのか知りたい

多くのフリーランスや個人事業主が、確定申告で白色申告と青色申告の選択に迷います。どちらの申告方法が最適なのかを判断するには、違いやメリット・デメリットを理解することが重要です。

この記事では、それぞれの申告方法の違いから、メリット・デメリット、白色申告と青色申告の選び方の基準まで詳しく解説します。記事を読めば、自分に合った申告方法がわかります

白色申告と青色申告の違い

白色申告と青色申告には、税務上の記帳義務や確定申告の手続き、税制優遇に違いがあります。事業の規模や将来の計画、税務管理の負担などを考慮した選択が重要です。以下の5つの違いについて詳しく解説していきます。

  • 特徴の違い
  • 記帳の違い
  • 申告に必要な書類の違い
  • 税制優遇の違い
  • 赤字の繰戻や繰越ができるかの違い

特徴の違い

申告方法を選ぶ際には、特徴の違いを理解することが重要です。白色申告の特徴は以下のとおりです。

  • 簡易な記帳が可能であり、簿記の知識がなくても申告できる
  • 帳簿の規定が緩く、収支内訳書の提出で済む場合がある

青色申告の特徴は以下のとおりです。

  • 専門的な簿記の知識が必要で、正確な帳簿をつける必要がある
  • 帳簿の記帳や勘定科目の選択が複雑である
  • 損益計算書と貸借対照表の作成が必要である
  • 青色申告特別控除をはじめ、さまざまな税制優遇を受けられる

記帳の違い

記帳とは、日々の取引を帳簿(お金の流れを記録するための書類)に記入することです。青色申告者は詳細な記帳義務を負う一方で、白色申告者は簡易的な記帳で済む場合が多いです。

どちらの申告方法でも帳簿の記帳・保存は義務付けられているため、正確な理解をしたうえでの記帳・保存が求められます。帳簿は確定申告の際に税務署に提出する必要はありませんが、取引について適切な記帳を行い保存しておかなければなりません。

事業所得、不動産所得、山林所得がある場合は、確定申告の必要がない場合でも帳簿の記帳・保存義務が発生します(国税庁「個人で事業を行っている方の記帳・帳簿等の保存について」)。

申告に必要な書類の違い

確定申告時には、1年間の売上や経費、控除を簡潔にまとめた書類の提出が必要になります。白色申告と青色申告では、申告に必要な書類が異なります。白色申告の提出書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書
  • 収支内訳書
  • 控除に関する各種証明書
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

青色申告の提出書類は以下のとおりです。

  • 確定申告書(第一表、第二表)
  • 青色申告決算書(貸借対照表、損益計算書を含む)
  • 控除に関する各種証明書
  • 本人確認書類(マイナンバーカードなど)

青色申告を利用するには、税務署に「青色申告承認申請書」の提出が必要となるため、事前に提出しておきましょう。選んだ申告方法に応じて適切な書類を準備し、正確な申告を行う必要があります。

» 青色申告承認申請書の書き方と提出期限

» フリーランスの確定申告を解説

税制優遇の違い

税制優遇は、白色申告と青色申告で大きく異なります。青色申告の最大のメリットは、以下のような控除や経費によって、白色申告よりも節税ができる点です。

  • 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
  • 30万円未満の減価償却資産(※1)を一括経費にできる
  • 家賃や水道光熱費を事業利用比率の分だけ経費に計上できる(※2)
  • 家族を雇った場合の給与支払いが経費として認められる

(※1) 減価償却資産とは、経年劣化する資産のことです。例えば、事業で使用する建物や車、備品などが該当します。

(※2) 家賃や水道光熱費を事業利用比率の分だけ経費に計上することを「家事按分」と言います。

事業者が税金を少しでも節約したい場合は、青色申告がおすすめです。青色申告の税制優遇を最大限に活用することで、事業の税負担を軽減し、実質的な利益(手取り収入)を増やすことができます。

赤字の繰戻や繰越ができるかの違い

青色申告では、税負担の軽減が可能です。事業で赤字が出た場合に、昨年や翌年以降の黒字と相殺して、還付や控除を受けることができます。最大3年間の赤字繰越が可能になりますが、以下の一定の要件を満たす必要があります。

  • 青色申告を行っている
  • 申告期限内に申告している
  • 確定申告の第四表の提出が必要となる

一方で、白色申告の場合は赤字の繰戻や繰越が認められていません。赤字が出た場合でも、その年中に解消しなければならず、昨年や翌年以降の黒字と相殺はできないため注意しましょう。

白色申告のメリット・デメリット

白色申告のメリットとデメリットを把握することで、自分の事業に最適な申告方法を選択することが可能です。事業の大きさや税務管理の負担、将来の計画を考慮し検討してください。

白色申告のメリット

白色申告のメリットは以下のとおりです。

  • 記帳の手間が比較的少ない
  • 帳簿の記録が簡易的である
  • 必要経費を実費で計上できる
  • 確定申告の手続きが簡易的である

白色申告の最大のメリットは、記帳や確定申告の手続きが簡易的である点です。特に、開業初年度で収入が少ない場合や、小規模事業者、副業をしている方に適しています。

税務に関する知識が乏しい方でも、会計ソフトを使わず管理がしやすいです。事業の規模が小さいうちは、白色申告が役立ちます

白色申告のデメリット

白色申告のデメリットは以下のとおりです。

  • 税制優遇が青色申告に比べて少ない
  • 赤字があった場合の繰戻還付や繰越控除が利用できない
  • 経費の計上が限られており、必要経費として認められる範囲が狭い
  • 専門的な税務知識の不足による申告誤りのリスクが高まる
  • 事業の拡大や予想外の損失があった場合に対応しにくい
  • 事業規模が大きくなった場合、不利になる可能性がある

白色申告最大のデメリットは、税制優遇が青色申告に比べて少ない点です。白色申告のデメリットをしっかりと理解して、白色申告と青色申告のどちらを選択するか考える必要があります。

青色申告のメリット・デメリット

青色申告は税制優遇が大きい反面、記帳や確定申告の手続きの負担も大きくなりがちです。簿記についての理解が必須であるため、時間と労力を投じることができる人には、青色申告が適していると言えます。一方で、記帳や確定申告の手続きの負担を最小限に抑えたい人には不向きかもしれません。

申告方法を選択する際には、メリットとデメリットを比較検討することが重要です。

青色申告のメリット

青色申告には、さまざまな節税に役立つメリットがあります。事業経営を有利に進めるためにも、青色申告を上手に活用していきましょう。青色申告のメリットは以下のとおりです。

  • 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
  • 赤字が出た場合、繰戻還付や繰越控除を利用できる
  • 30万円未満の減価償却資産(※1)を一括経費にできる
  • 家賃や水道光熱費を事業利用比率の分だけ経費に計上できる(※2)
  • 家族を雇った場合の給与支払いが経費として認められる

(※1) 減価償却資産とは、経年劣化する資産のことです。例えば、事業で使用する建物や車、備品などが該当します。

(※2) 家賃や水道光熱費を事業利用比率の分だけ経費に計上することを「家事按分」と言います。

最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、以下の条件を満たさなければなりません。

  • 複式簿記での記帳をする
  • 貸借対照表と損益計算書を添付する
  • 期限内に申告する
  • e-Taxによる電子申告か電子帳簿保存をする

確定申告が複雑になる場合もありますが、電子申告を利用することで、税務署に訪問する時間や手間を削減できます。便利な制度を活用してメリットを享受しましょう。

青色申告のデメリット

メリットが多い青色申告ですが、特に初心者や小規模事業者にとっては、記帳や確定申告の手続きが理解しにくい場合もあります。青色申告のデメリットは以下のとおりです。

  • 簿記の知識が求められる
  • 準備する書類が多く、事務負担が大きい
  • 記帳義務が厳しく、記帳に手間がかかる
  • 帳簿に不備があると青色申告特別控除の適用を受けられない場合がある
  • 税務調査の際に細かい検査を受ける可能性が高い
  • 税理士に依頼する場合、費用が高くなる傾向がある

上記のデメリットを理解したうえで、青色申告が自分に合っているのか検討することが重要です。

白色申告と青色申告の選び方の基準

白色申告と青色申告の選び方の基準は、フリーランスや個人事業主の条件によって異なります。以下の条件に当てはまる場合は、白色申告がおすすめです。

  • 事業が小規模で単純な取引が多い
  • 記帳や帳簿管理に自信がない・時間をかけたくない
  • 手続きが簡単なものを選びたい

一方で、以下の条件に当てはまる場合は、青色申告がおすすめです。

  • 事業の利益が大きく、成長が見込める
  • 税制優遇を受けて節税したい
  • 青色申告用の会計ソフトが使用できる
  • 税理士のアドバイスを受けられる環境がある

青色申告を選択する際には、青色申告承認申請書を期限内に提出する必要があります。提出期限を守って、青色申告を適切に受けられるようにしましょう。青色申告承認申請書の提出期限については、以下の記事で解説しています。

» 開業届と青色申告の提出方法と注意点

それでも判断に迷う場合は、以下の選び方の基準を参考にしてください。順番に解説します。

  • 事業規模と収益性で判断する
  • 税務管理の負担と対処能力で判断する
  • 節税対策と将来計画で判断する

事業規模と収益性で判断する

事業規模と収益性は、白色申告と青色申告を選択する際の重要な要素です。事業の年間売上は、大きな判断基準になります。

小規模事業者の場合は、手続きの簡易さから白色申告が適している場合が多いです。一方で、収益性が高く節税効果を重視したい場合は、青色申告を利用することで、税制上のさまざまな優遇措置を受けられます。特に、利益が多い事業の場合は、青色申告の利用によって税負担の軽減が可能です。

事業が成長していく見込みがあれば、将来的な節税効果を見越して、初期段階から青色申告を選択するほうが賢明です。適切な申告方法の選択で、事業の成長と安定を支える土台を築きましょう。

税務管理の負担と対処能力で判断する

記帳や帳簿の管理、申告書類の準備といった税務管理の負担を軽減するためには、個々の対処能力を考慮することが重要です。青色申告を選択する場合は、一定の時間と労力を割く必要があると覚えておきましょう。

青色申告では詳細な帳簿記録が求められ、専門的な知識が必須です。白色申告は記帳が簡易的であるため、時間と労力の節約が可能ですが、税制優遇を受けられないことに注意してください。

税務管理を効率的に行うためには、税務管理に関わる作業を外部に委託するのも1つの選択肢です。委託する場合には、コストもしっかりと検討しましょう。

税務管理の負担と節税効果、委託コストを総合的に評価して、自分に合った申告方法を選択してください。

節税対策と将来計画で判断する

白色申告と青色申告を選ぶ際の判断基準として、節税対策と将来計画で判断する場合もあります。

節税を最大限に活用したい場合、青色申告が最も適しています。長期的な事業運営や将来の事業拡大、事業売却を考えている事業主にとって、青色申告は有利な選択肢です。白色申告で税負担が発生する場合、青色申告を選択することで税負担を軽減できます。

長期的な事業運営を考えている場合、節税対策は特に重要です。年度ごとに青色申告特別控除や赤字の繰戻還付、繰越控除といった税制優遇を活用できるため、事業の運営歴が長くなるほど、白色申告との税負担の差が出てきます

事業の運営方針と将来的な計画を踏まえて、慎重に申告方法を選択しましょう。

まとめ

白色申告と青色申告には、それぞれ異なるメリットとデメリットが存在します。主な違いは以下の5つです。

  • 特徴の違い
  • 記帳の違い
  • 申告に必要な書類の違い
  • 税制優遇の違い
  • 赤字の繰戻や繰越ができるかの違い

どちらの申告方法を選ぶかは、事業の状況によって大きく変わるため、慎重に決定する必要があります。

白色申告のメリットは、記帳や確定申告の手続きが比較的簡単な点です。開業初年度で所得(売上 – 経費)が少ない場合や小規模事業者、税務知識に自信がない方などに適した申告方法と言えます。白色申告のデメリットは、税制優遇が少ない点です。事業の規模や所得に関わらず、簡易的な方法に重点を置くと税金面で損をする可能性もあります。

一方で、青色申告のメリットは、最大65万円の青色申告特別控除を受けられる点です。他にも、赤字を3年繰り越すことが可能で、家族を雇った場合の給与支払いが経費として認められます。青色申告のデメリットは、記帳や確定申告の手続きに手間がかかる点です。

自分の事業に合った申告方法を選択するためには、以下の選び方の基準も参考にしてください。

  • 事業規模と収益性で判断する
  • 税務管理の負担と対処能力で判断する
  • 節税対策と将来計画で判断する

白色申告と青色申告のどちらを選択するかは、目先の税務や節税に影響するのはもちろんのこと、将来にわたる事業の計画や戦略にも大きな影響を与えます。申告方法を決定する際には、事業方針や将来計画を踏まえて、慎重に検討することが大切です。この記事の内容を参考に、自分に合った申告方法を選択しましょう。

» 個人事業主になるには